#健康要有文化素養 & 健康要有哲學頭腦#
特集
川魚を知って好きになる!02
特有の風味や味わいを楽しめる
川魚を食べよう
川魚は海魚とは違った風味や味わいがあるおいしい食材です。
今回は、料理研究家の島本美由紀さんによる彩り鮮やかな川魚レシピと、
お取り寄せで楽しめる川魚の食品や川魚を使った郷土料理を紹介します。
今週の見どころ
Recipe01 アユのアクアパッツァ
Recipe02 ニジマスの南蛮漬け
お取り寄せで楽しめる川魚の味覚
川魚を使った郷土料理いろいろ
Cooking 料理研究家・島本美由紀さんに教わる 川魚の上手な料理法
鮮度が大切な川魚は、流通や養殖技術の進歩もあり、スーパーなどでも売られるようになってきました。そこで今回は、比較的手に入りやすい、アユとニジマスを使ったレシピを紹介します。川魚特有のおいしさを味わってみてください。
島本美由紀(しまもと・みゆき)
料理研究家。旅先で得たさまざまな感覚を料理に生かし、手軽でおいしいレシピを考案。食品ロス削減アドバイザーとしても活動し、無駄なく食べきるコツや料理の楽しさを伝えることを心掛けている。実用的なアイデアが好評でテレビや雑誌を中心に活躍。著書は80冊を超える。
Recipe01 アユのアクアパッツァ
アユのアクアパッツァ
アユの香りがしっかり味わえるやさしい味わいです。
アサリの旨みがたっぷりにじみ出たスープにバゲットを浸して、余すところなく食べられます。
材料(2人分)
アユ(下処理したもの)…2匹
塩…少々
アサリ…150グラム
ミニトマト…8個
パプリカ(黄)…2分の1個
オリーブオイル…大さじ2
にんにく(薄切り)…1片分
イタリアンパセリ…適宜
[A]
水…200ミリリットル
白ワイン…50ミリリットル
顆粒コンソメ…小さじ1
アユの下処理方法
尾から頭に向かって、包丁でやさしくこすり、ウロコを取る。
肛門付近を軽く絞るようにしてフンをしぼり出す(フンは出てこない場合もある)。
肛門の手前から、えらの手前まで調理用ハサミを浅く入れて切り開き、内臓を取り除く。
えらを片側に押し出して、取り除く。
背骨に沿って手で血合いをひっかきながら、流水で手早く水洗いし、水けを拭く。
スーパーの鮮魚売り場では、魚の下処理を頼めることが多いので、利用するとラクです。
つくり方
1
アユに塩少々を振り、5分ほど置いてペーパーで水分を拭き取る。アユは塩を振ることで余分な水分が抜け、臭みが和らぐ。
2
アサリは砂抜きする。ミニトマトはヘタを取って半分に切り、パプリカはヘタと種を取って2センチ幅の斜め切りにする。
3
フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ弱火で熱し、香りが出たらアユを入れる。焼き色がついたら返し、両面を焼く。
4
2と[A]を加え、蓋をして中火で5分ほど蒸し煮にする。器に盛り、好みでちぎったイタリアンパセリを散らしてできあがり。
Recipe02 ニジマスの南蛮漬け
ニジマスの南蛮漬け
ニジマスは片栗粉をたっぷりまぶして揚げてカリカリに。南蛮酢に漬ければ、臭みもまったく気にならずに、おいしくいただけます。
材料(2人分)
ニジマス(下処理したもの)…2匹
牛乳…適量
塩…少々
片栗粉…大さじ2
玉ねぎ…4分の1個
セロリ…2分の1本
人参…4分の1本
[A]
酢…大さじ4
醤油…大さじ2
砂糖…大さじ2
水…大さじ2
赤唐辛子(小口切り)…1本分
ニジマスの下処理方法
尾から頭に向かって、包丁でこすってウロコとぬめりを取る。ニジマスはぬめりが強いので、手が滑らないように注意。
えらの下で頭を落とし、調理用ハサミで切り開き、内臓を取り除く。
背骨に沿って手で血合いをひっかきながら、流水で手早く水洗いし、水けを拭く。
つくり方
1
下処理をしたニジマスを2センチ幅のぶつ切りにしてバットに入れ、かぶるくらいの牛乳を注ぎ、30分ほど漬けたらペーパーで水けを拭き、臭みを取る。
2
玉ねぎは薄切りに。セロリの葉はちぎり、茎の部分は筋を取って千切りに。人参も千切りにし、よく混ぜ合わせた[A]に加えて置く。
3
ニジマスに塩を振り、外側と内側に片栗粉をまぶす。
4
フライパンに油を2センチほど入れて火にかけ3を入れ、弱めの中火で5分ほど、途中で返しながらじっくり揚げ焼きにする。熱いうちに2に加えて混ぜ、味が染み込むまで30分ほど漬け、器に盛ってできあがり。
お取り寄せで楽しめる川魚の味覚
もっと手軽に川魚料理を楽しんでみましょう。
全国からお取り寄せができる人気の一品を紹介。
あゆの塩焼き
とれたての新鮮なアユの風味を損なわないように天日塩で化粧塩をして、立て串で余分な脂を落としながら焼き上げています。「香魚」とも呼ばれるアユの淡く、涼やかな味わいを楽しめます。
あゆの店きむら
https://t.cn/A6TC4PMQ
鮎ピザ
子持鮎熟れ寿し(なれずし)からつくった白熟クリームやあゆチョビソース、鮎醤(あゆびしお)を使用。国産とイタリア産の小麦粉を独自にブレンドし、低温熟成させたもっちりした生地とアユのうま味が相性ばっちりです。
泉屋物産店
https://t.cn/A6TC4PMu
鮎の甘露煮 温蕎麦(おんそば)
和食職人が、アユを番茶と醤油でじっくり時間をかけて炊き上げ、骨までやわらかくした甘露煮。温かいそばに、焼き茄子のおひたし、甘く煮た椎茸と一緒にのせていただきます。
有田川温泉 鮎茶屋
https://t.cn/A6TC4PMn
岩魚すし
50年以上親しまれている埼玉県奥秩父名物。透き通るような白身は、あっさり上品な味わいで、酢飯には赤酢が使われています。そのままでイワナ本来の味を楽しんでも、醤油をつけて食べてもおいしいです。
みな寿し
https://t.cn/A6TC4PME
新潟八海山いわな焼き干し
新潟県八海山の雪解けの冷たい一番水で時間をかけて育てられたイワナ。臭みが少ないこのイワナを素焼きにして乾燥させた逸品で、おつまみにしても骨酒でも楽しめます。
ギフトモール
https://t.cn/A6boCJD0
鮒味噌(ふなみそ)
身が引き締まり、適度に脂がのった寒ブナを素焼きし、赤味噌、砂糖、大豆などを加えてじっくりコトコト煮込んだ尾張地方の伝統料理。フナの臭みはなく、身がほろほろで骨までやわらかいです。
鈴木食品(有)
https://t.cn/A6TC4PMH
川魚を使った郷土料理いろいろ
全国各地には、地域でとれた川魚を使った昔ながらの郷土料理があります。
特設サイト「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」では、
多くの川魚料理を紹介していますので、気になるひと品を探してみてはいかがでしょう。
鯉のうま煮/山形県
コイを輪切りにし、砂糖・しょう油・酒で煮たもの。山形県のコイ養殖の歴史は古く、1802年に米沢藩9代目藩主・上杉鷹山公が、内陸で水産資源が乏しい米沢の地で滋養のある食材を確保するために提案したことが始まりだそう。
鮎ぞうすい/岐阜県
素焼きでこんがりと香ばしく焼かれたアユをご飯と出汁でさっと煮たぞうずい。昔、捕獲の際に傷つき、そのままでは市場性が低くなってしまったアユを、おいしく食べるための方法の一つだったといわれています。
ふなずし/滋賀県
古来のすしの一つで、塩漬けした魚と米を漬け込み発酵させたものを「なれずし」と呼びますが、フナずしはその代表格。滋賀県では、琵琶湖でとれる子持ちのニゴロブナを使用することが多いそうです。
つがに汁/高知県
高知県を代表する郷土料理の一つ。ツガニとは、四万十川や仁淀川(によどがわ)などの河川にせい息するモクズガニのこと。生きたまま石臼やミキサーなどで粉砕して、その出汁でつくった汁物料理です。
出典
農林水産省「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」
https://t.cn/A6Y1wU9k
特集
川魚を知って好きになる!02
特有の風味や味わいを楽しめる
川魚を食べよう
川魚は海魚とは違った風味や味わいがあるおいしい食材です。
今回は、料理研究家の島本美由紀さんによる彩り鮮やかな川魚レシピと、
お取り寄せで楽しめる川魚の食品や川魚を使った郷土料理を紹介します。
今週の見どころ
Recipe01 アユのアクアパッツァ
Recipe02 ニジマスの南蛮漬け
お取り寄せで楽しめる川魚の味覚
川魚を使った郷土料理いろいろ
Cooking 料理研究家・島本美由紀さんに教わる 川魚の上手な料理法
鮮度が大切な川魚は、流通や養殖技術の進歩もあり、スーパーなどでも売られるようになってきました。そこで今回は、比較的手に入りやすい、アユとニジマスを使ったレシピを紹介します。川魚特有のおいしさを味わってみてください。
島本美由紀(しまもと・みゆき)
料理研究家。旅先で得たさまざまな感覚を料理に生かし、手軽でおいしいレシピを考案。食品ロス削減アドバイザーとしても活動し、無駄なく食べきるコツや料理の楽しさを伝えることを心掛けている。実用的なアイデアが好評でテレビや雑誌を中心に活躍。著書は80冊を超える。
Recipe01 アユのアクアパッツァ
アユのアクアパッツァ
アユの香りがしっかり味わえるやさしい味わいです。
アサリの旨みがたっぷりにじみ出たスープにバゲットを浸して、余すところなく食べられます。
材料(2人分)
アユ(下処理したもの)…2匹
塩…少々
アサリ…150グラム
ミニトマト…8個
パプリカ(黄)…2分の1個
オリーブオイル…大さじ2
にんにく(薄切り)…1片分
イタリアンパセリ…適宜
[A]
水…200ミリリットル
白ワイン…50ミリリットル
顆粒コンソメ…小さじ1
アユの下処理方法
尾から頭に向かって、包丁でやさしくこすり、ウロコを取る。
肛門付近を軽く絞るようにしてフンをしぼり出す(フンは出てこない場合もある)。
肛門の手前から、えらの手前まで調理用ハサミを浅く入れて切り開き、内臓を取り除く。
えらを片側に押し出して、取り除く。
背骨に沿って手で血合いをひっかきながら、流水で手早く水洗いし、水けを拭く。
スーパーの鮮魚売り場では、魚の下処理を頼めることが多いので、利用するとラクです。
つくり方
1
アユに塩少々を振り、5分ほど置いてペーパーで水分を拭き取る。アユは塩を振ることで余分な水分が抜け、臭みが和らぐ。
2
アサリは砂抜きする。ミニトマトはヘタを取って半分に切り、パプリカはヘタと種を取って2センチ幅の斜め切りにする。
3
フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ弱火で熱し、香りが出たらアユを入れる。焼き色がついたら返し、両面を焼く。
4
2と[A]を加え、蓋をして中火で5分ほど蒸し煮にする。器に盛り、好みでちぎったイタリアンパセリを散らしてできあがり。
Recipe02 ニジマスの南蛮漬け
ニジマスの南蛮漬け
ニジマスは片栗粉をたっぷりまぶして揚げてカリカリに。南蛮酢に漬ければ、臭みもまったく気にならずに、おいしくいただけます。
材料(2人分)
ニジマス(下処理したもの)…2匹
牛乳…適量
塩…少々
片栗粉…大さじ2
玉ねぎ…4分の1個
セロリ…2分の1本
人参…4分の1本
[A]
酢…大さじ4
醤油…大さじ2
砂糖…大さじ2
水…大さじ2
赤唐辛子(小口切り)…1本分
ニジマスの下処理方法
尾から頭に向かって、包丁でこすってウロコとぬめりを取る。ニジマスはぬめりが強いので、手が滑らないように注意。
えらの下で頭を落とし、調理用ハサミで切り開き、内臓を取り除く。
背骨に沿って手で血合いをひっかきながら、流水で手早く水洗いし、水けを拭く。
つくり方
1
下処理をしたニジマスを2センチ幅のぶつ切りにしてバットに入れ、かぶるくらいの牛乳を注ぎ、30分ほど漬けたらペーパーで水けを拭き、臭みを取る。
2
玉ねぎは薄切りに。セロリの葉はちぎり、茎の部分は筋を取って千切りに。人参も千切りにし、よく混ぜ合わせた[A]に加えて置く。
3
ニジマスに塩を振り、外側と内側に片栗粉をまぶす。
4
フライパンに油を2センチほど入れて火にかけ3を入れ、弱めの中火で5分ほど、途中で返しながらじっくり揚げ焼きにする。熱いうちに2に加えて混ぜ、味が染み込むまで30分ほど漬け、器に盛ってできあがり。
お取り寄せで楽しめる川魚の味覚
もっと手軽に川魚料理を楽しんでみましょう。
全国からお取り寄せができる人気の一品を紹介。
あゆの塩焼き
とれたての新鮮なアユの風味を損なわないように天日塩で化粧塩をして、立て串で余分な脂を落としながら焼き上げています。「香魚」とも呼ばれるアユの淡く、涼やかな味わいを楽しめます。
あゆの店きむら
https://t.cn/A6TC4PMQ
鮎ピザ
子持鮎熟れ寿し(なれずし)からつくった白熟クリームやあゆチョビソース、鮎醤(あゆびしお)を使用。国産とイタリア産の小麦粉を独自にブレンドし、低温熟成させたもっちりした生地とアユのうま味が相性ばっちりです。
泉屋物産店
https://t.cn/A6TC4PMu
鮎の甘露煮 温蕎麦(おんそば)
和食職人が、アユを番茶と醤油でじっくり時間をかけて炊き上げ、骨までやわらかくした甘露煮。温かいそばに、焼き茄子のおひたし、甘く煮た椎茸と一緒にのせていただきます。
有田川温泉 鮎茶屋
https://t.cn/A6TC4PMn
岩魚すし
50年以上親しまれている埼玉県奥秩父名物。透き通るような白身は、あっさり上品な味わいで、酢飯には赤酢が使われています。そのままでイワナ本来の味を楽しんでも、醤油をつけて食べてもおいしいです。
みな寿し
https://t.cn/A6TC4PME
新潟八海山いわな焼き干し
新潟県八海山の雪解けの冷たい一番水で時間をかけて育てられたイワナ。臭みが少ないこのイワナを素焼きにして乾燥させた逸品で、おつまみにしても骨酒でも楽しめます。
ギフトモール
https://t.cn/A6boCJD0
鮒味噌(ふなみそ)
身が引き締まり、適度に脂がのった寒ブナを素焼きし、赤味噌、砂糖、大豆などを加えてじっくりコトコト煮込んだ尾張地方の伝統料理。フナの臭みはなく、身がほろほろで骨までやわらかいです。
鈴木食品(有)
https://t.cn/A6TC4PMH
川魚を使った郷土料理いろいろ
全国各地には、地域でとれた川魚を使った昔ながらの郷土料理があります。
特設サイト「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」では、
多くの川魚料理を紹介していますので、気になるひと品を探してみてはいかがでしょう。
鯉のうま煮/山形県
コイを輪切りにし、砂糖・しょう油・酒で煮たもの。山形県のコイ養殖の歴史は古く、1802年に米沢藩9代目藩主・上杉鷹山公が、内陸で水産資源が乏しい米沢の地で滋養のある食材を確保するために提案したことが始まりだそう。
鮎ぞうすい/岐阜県
素焼きでこんがりと香ばしく焼かれたアユをご飯と出汁でさっと煮たぞうずい。昔、捕獲の際に傷つき、そのままでは市場性が低くなってしまったアユを、おいしく食べるための方法の一つだったといわれています。
ふなずし/滋賀県
古来のすしの一つで、塩漬けした魚と米を漬け込み発酵させたものを「なれずし」と呼びますが、フナずしはその代表格。滋賀県では、琵琶湖でとれる子持ちのニゴロブナを使用することが多いそうです。
つがに汁/高知県
高知県を代表する郷土料理の一つ。ツガニとは、四万十川や仁淀川(によどがわ)などの河川にせい息するモクズガニのこと。生きたまま石臼やミキサーなどで粉砕して、その出汁でつくった汁物料理です。
出典
農林水産省「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」
https://t.cn/A6Y1wU9k
【老师这是我们家堂安律吗】
堂安律、なぜドイツで高評価? 計り知れない貢献度「これだけやってたら嫌でも上手くなる」【現地発コラム】
2024.04.07
どこで起用されても高水準のプレー、堂安の起用法に見る期待と信頼
攻撃的な選手にゴールやアシストが求められるのはサッカー界の常。欧州でブレイクスルーを果たすためにはゴールに直結するプレーのクオリティーが欠かせないし、効果的にフィニッシュワークに関われる選手ははどんなチームでも重用される。
一方で、現代サッカーではチーム戦術を秩序だって遂行することも高いレベルで求められる。攻撃的な選手だからといって攻撃にだけ集中して取り組めばいいとはならない。
本当に一握り中の一握りだけが、例外的に守備への負担を減らして攻撃で脅威となるプレーが発揮しやすいようにと考慮されるケースもあるが、そのためにはひとたびボールを持つと高い確率でゴールを脅かすアクションにつながるという深い信頼がなければ成り立たない。そして世界レベルで活躍している選手の多くが、守備でも攻撃でもオフ・ザ・ボールで秩序だった動きに汗をかいているし、そのことが攻撃に悪影響になるようでは評価対象にも入ってこないのが現実だ。
フライブルクの日本代表MF堂安律がクリスティアン・シュトライヒ監督から高く評価されているのは、どれだけ運動量が多く求められる試合展開でも、守備へのタスクが多くなる起用法でも、足と頭を止めずに、チームのために全力で取り組み、さらに個の力でプラスαをもたらしてくれるからだ。
今季はさまざまなタスクを担いながらも出場し続けていることからも、それがよく分かる。4-4-2での右サイドハーフ、4-3-3での右ウイング、そして3-4-3での右ウイングバック。どこで起用されても堂安はこれだけのプレーをしてくれるという期待と信頼がそこにはある。
ボルシアMG戦に向けて「4バックでいくべきか、それとも3バックかとかなり熟考した」と明かすシュトライヒ監督は最終的に3バックを選択。「フィジカル的、アスレチック的な強さも必要になると考えた。上手く機能してくれた」とその理由を振り返っていたが、堂安はそうした試合展開でも大きな力になるという評価の表れでもある。
選手によっては戦術的な理由でスタメンから外されたり、メンバー外になることだってある。どんな役割でも大切な選手。それがフライブルクにおける堂安なのだ。守備での貢献は計り知れない。堂安も「そうですね、これだけ守備をやってたら、嫌でも上手くなりますね」と自信を深めている。
今季4ゴール2アシストの活躍を見せる堂安、本人の自己評価は「全然っすね」
堂安は細部でも大事な動きも見せている。例えば、ボルシアMG戦の前半7分の先制点の場面だ。
左サイドでのスローインからセンターバックで起用されたヤニク・カイテルが上手くスペースでボールを受けると、そのまま前線へタイミングのいいロビングパス。マーリン・ロールがヘディングで折り返すと、ボルシアMG左サイドバックのルカ・ネッツが自分に食い付いてきているのを感じた堂安が、このボールをクレバーにスルー。うしろに回り込んでいたマクシミリアン・エッゲシュタインのシュートはそのネッツに当たって方向が変わり、ファーポスト際でいち早く反応したミヒャエル・グレゴリッチュがダイレクトシュートで流し込んだ。
この一連の流れでは結果としてグレゴリッチュのシュートがゴールへと入ったが、スルーしただけではなく、堂安がファーポスト際でしっかりとスタンバイしていたのは重要なポイントだ。
チーム2点目の場面もそうだった。グレゴリッチュが左サイドから侵入してきた場面で、堂安はファーポストへとハイスピードで走り込んでいる。グレゴリッチュはシュートを選択し、こぼれ球を拾ったレールが鋭いシュートを決めてゴールとなったわけだが、得点機に顔を出す堂安の動きは貴重だ。
シュトライヒ監督は常々、そうした堂安の走りを褒めていたことがあった。
「相手守備を押し込み、翻弄するためには深いところまで走りこむ動きが必要になる。リツはそうした走りを何度も見せてくれる。チームの助けとなる動きだ」
とはいえ、それですべて満足しているわけではない。ボルシアMG戦で1ゴールの堂安は、今季4ゴール2アシストの活躍。この数字は本人にとってはまだ「全然っすね」というものだった。
「そんな悪いシーズンじゃないのになと思いながら、そんな数字だったなという。ただ、ウインターブレイクが明けて、アジアカップが終わって、かなりの悔しさを持ってこうやって帰ってきて、間違いなくこの2か月で成長できています」
試合ごとに得点機には絡めているだけに、残り試合でゴールやアシストをさらに増やし 、クラブ3年連続となるヨーロッパカップ戦出場権獲得に貢献したい。
堂安律、なぜドイツで高評価? 計り知れない貢献度「これだけやってたら嫌でも上手くなる」【現地発コラム】
2024.04.07
どこで起用されても高水準のプレー、堂安の起用法に見る期待と信頼
攻撃的な選手にゴールやアシストが求められるのはサッカー界の常。欧州でブレイクスルーを果たすためにはゴールに直結するプレーのクオリティーが欠かせないし、効果的にフィニッシュワークに関われる選手ははどんなチームでも重用される。
一方で、現代サッカーではチーム戦術を秩序だって遂行することも高いレベルで求められる。攻撃的な選手だからといって攻撃にだけ集中して取り組めばいいとはならない。
本当に一握り中の一握りだけが、例外的に守備への負担を減らして攻撃で脅威となるプレーが発揮しやすいようにと考慮されるケースもあるが、そのためにはひとたびボールを持つと高い確率でゴールを脅かすアクションにつながるという深い信頼がなければ成り立たない。そして世界レベルで活躍している選手の多くが、守備でも攻撃でもオフ・ザ・ボールで秩序だった動きに汗をかいているし、そのことが攻撃に悪影響になるようでは評価対象にも入ってこないのが現実だ。
フライブルクの日本代表MF堂安律がクリスティアン・シュトライヒ監督から高く評価されているのは、どれだけ運動量が多く求められる試合展開でも、守備へのタスクが多くなる起用法でも、足と頭を止めずに、チームのために全力で取り組み、さらに個の力でプラスαをもたらしてくれるからだ。
今季はさまざまなタスクを担いながらも出場し続けていることからも、それがよく分かる。4-4-2での右サイドハーフ、4-3-3での右ウイング、そして3-4-3での右ウイングバック。どこで起用されても堂安はこれだけのプレーをしてくれるという期待と信頼がそこにはある。
ボルシアMG戦に向けて「4バックでいくべきか、それとも3バックかとかなり熟考した」と明かすシュトライヒ監督は最終的に3バックを選択。「フィジカル的、アスレチック的な強さも必要になると考えた。上手く機能してくれた」とその理由を振り返っていたが、堂安はそうした試合展開でも大きな力になるという評価の表れでもある。
選手によっては戦術的な理由でスタメンから外されたり、メンバー外になることだってある。どんな役割でも大切な選手。それがフライブルクにおける堂安なのだ。守備での貢献は計り知れない。堂安も「そうですね、これだけ守備をやってたら、嫌でも上手くなりますね」と自信を深めている。
今季4ゴール2アシストの活躍を見せる堂安、本人の自己評価は「全然っすね」
堂安は細部でも大事な動きも見せている。例えば、ボルシアMG戦の前半7分の先制点の場面だ。
左サイドでのスローインからセンターバックで起用されたヤニク・カイテルが上手くスペースでボールを受けると、そのまま前線へタイミングのいいロビングパス。マーリン・ロールがヘディングで折り返すと、ボルシアMG左サイドバックのルカ・ネッツが自分に食い付いてきているのを感じた堂安が、このボールをクレバーにスルー。うしろに回り込んでいたマクシミリアン・エッゲシュタインのシュートはそのネッツに当たって方向が変わり、ファーポスト際でいち早く反応したミヒャエル・グレゴリッチュがダイレクトシュートで流し込んだ。
この一連の流れでは結果としてグレゴリッチュのシュートがゴールへと入ったが、スルーしただけではなく、堂安がファーポスト際でしっかりとスタンバイしていたのは重要なポイントだ。
チーム2点目の場面もそうだった。グレゴリッチュが左サイドから侵入してきた場面で、堂安はファーポストへとハイスピードで走り込んでいる。グレゴリッチュはシュートを選択し、こぼれ球を拾ったレールが鋭いシュートを決めてゴールとなったわけだが、得点機に顔を出す堂安の動きは貴重だ。
シュトライヒ監督は常々、そうした堂安の走りを褒めていたことがあった。
「相手守備を押し込み、翻弄するためには深いところまで走りこむ動きが必要になる。リツはそうした走りを何度も見せてくれる。チームの助けとなる動きだ」
とはいえ、それですべて満足しているわけではない。ボルシアMG戦で1ゴールの堂安は、今季4ゴール2アシストの活躍。この数字は本人にとってはまだ「全然っすね」というものだった。
「そんな悪いシーズンじゃないのになと思いながら、そんな数字だったなという。ただ、ウインターブレイクが明けて、アジアカップが終わって、かなりの悔しさを持ってこうやって帰ってきて、間違いなくこの2か月で成長できています」
試合ごとに得点機には絡めているだけに、残り試合でゴールやアシストをさらに増やし 、クラブ3年連続となるヨーロッパカップ戦出場権獲得に貢献したい。
2024.04.05
放送批評懇談会〈ギャラクシー賞/GALAC〉
@houkon_jp
https://t.cn/A6TiuX9Q
【座談会】2024年冬ドラマまとめ編
★放懇公式ホームページオリジナルコンテンツ「座談会」第33弾★
ギャラクシー賞マイベストTV賞プロジェクトメンバーが、2024年冬の注目作の感想を語ります!
●
登場人物の魅力とストーリー光った
「ブギウギ」「ふてほど」「おっぱん」
T:2024年の冬ドラマが最終回を迎えました。今クールを総括していきましょう。朝ドラからどうでしょうか。
Y:連続テレビ小説「ブギウギ」(NHK)は歌の力を存分に感じながら半年間を楽しめました。主演の趣里はもちろん、キーパーソンの草彅剛、菊地凛子らが、実在の人物や出来事をベースにしながら、オリジナリティもある役をバランスよく魅力的に演じていたと思います。
T:主演の趣里の歌と踊りのシーンが圧巻でした。『東京ブギウギ』だけでなく、『ラッパと娘』『買物ブギー』など、往年の大スターの魅力を見事に表現していました。淡谷のり子役の菊地凛子も気だるい雰囲気を醸し出していて、音楽だけでも楽しめました。
K:私も半年間、音楽を存分に楽しませてもらいました。ラストシーンはなんと生演奏。指揮は音楽担当の服部隆之氏という振り切った演出で、本当にライブを見ているようでした。趣里の歌にしびれ、余韻の残るエンディングに唸りました。
Y:印象に残る登場人物が多く、「あの人たちはどうなったのだろう」と気になっていたところ、最終回の観客、手紙、お花で足早に多くの情報が補完され、少し驚きました。その後が知れてよかったものの、欲を言えば、下宿の夫妻やおでん屋の主人との戦後の交流なども見てみたかった気はします。
N:金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS)は宮藤官九郎らしく、親子のきずなや、元は反発し合っていた先輩後輩がわかり合う場面などで、ほろっとさせられたりとうまいなと思わせてくれるドラマではありました。
Y:現代の過剰にがんじがらめになったコンプライアンスを風刺しつつ、昭和と令和それぞれの問題点と良さに目を向け、テレビ業界の内省も描き、さらには家族や人生、生と死を改めて考えさせる要素が絶妙にストーリーに織り込まれ、毎回次週が楽しみなドラマでした。最終回のCreepy Nutsの登場の仕方も絶妙でした。2024年ってこんな感じだった、と後々確認できるコンテンツにもなりそうです。
S:演じ手が総じて歌が上手なので、唐突なミュージカル展開も無理なく受け入れられました。世代ギャップやタイムパラドックスを取り入れつつも、芯の部分は真っ当なホームドラマだったと思います。最終回、水と油だった小川とサカエが、時空を超えて互いの世界の生きづらさに愚痴をこぼすシーンにドラマのメッセージが凝縮されていると感じました。時代のせいにしてはダメなのよね。声を上げていかないと。
Y:ただ残念だったのは、インティマシーコーディネーターやフェミニストの社会学者、同性パートナーシップの描き方が、見方によっては一方的で情報不足に感じられた点です。このような点まで丁寧に描かれてこそ主題が際立つのでは、と思ったところです。
N:そうですね。アウティングという言葉を誤解した登場人物が出てきたり、フェミニストを誇張したり、インティマシーコーディネーターという職業の本質を曲解させるような部分もありました。その点については、さまざまな識者が記事で突っ込んでいたので、それは良かったとは思いますが、その記事にたどり着かない人を思うと複雑な気持ちです。
T:「不適切にも~」では昭和の魅力を味わえましたが、「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」(東海テレビ)、こちらは逆。昭和の価値観を持った父親が、現代風に“アップデート”されていく様子が、コミカルな場面を交えながら生真面目に描かれていました。性や価値の多様性の問題が、真っ正面から扱われていたのも好感が持てました。
N:タイトルからはどんなドラマか想像がつきませんでしたが、主人公が最初は旧態依然とした価値観を持っていたのに、変化していく様子が自然に描かれていました。特に、同性カップルが、現時点の国内の制度的には法的に結婚できないといことを、実際の現状をしっかり示しながらも(その点は、「おっさんずラブ‐リターンズ‐」でも描かれていませんでした)よりよい形を求めるところもよかったです。
現代版のアップデートも楽しめる「舟を編む」
オムニバスの贅沢さ生かした夜ドラ
K:「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」(NHK-BS)はアニメ化や映画にもなっていて名作の誉れ高い作品ですが、ドラマ版は辞書編纂室に異動させられた岸辺みどり(池田エライザ)を主軸にし、素人が辞書作りの魅力に開眼していく姿に視聴者が共感しやすい作りになっています。そして特筆すべきは野田洋次郎の演技。辞書作りに情熱を注ぎ、不器用だが真っ直ぐで意志の強い馬締(まじめ)という男。個性の強い難役を見事に演じ、物語を動かす原動力になっています。すっかりRADWIMPSであることを忘れて見ています。
H:まだ最終回まで数話ありますが、今クールでは一番一週間が待ち遠しかった作品で、個人的ナンバーワンです。映画版とは違う視点で描かれているので新鮮に見れましたし、辞書作りならではの工夫や苦労が各話に登場するさまざまな登場人物を通してわかってくる。勝村政信が出演した「水木しげる」の回は泣きましたね。辞書の意義を再認識させられました。また、「恋愛」の語釈では「異性」や「男女」の記述に違和感を持つという現代版のアップデートもありました。その辺りも含め残り数話、伏線になっているチェックの見落としをどう回収するのか、ドラマ版ならではのラストになるのか楽しみです。
S:「大奥」(フジテレビ)はクセのある登場人物だらけなのに、その人となりがなかなか明かされず、物語を追うのに苦労しました。地位と権力をめぐる争いが続くヘビーな展開のなか、御難続きの御台所を支える家治の不器用な愛情に触れるとホッとしました。
H:同感ですね。序盤~中盤にかけて停滞していた感じがあり、継続して視聴するのが辛くなる週がありました。どうしても既視感があるなかで、もう少し視聴者を引き付ける展開が必要だった気がしています。やり切った小芝風花には拍手を送りたいですが…。
I:小芝風花、よかったですよね。ただ最後に印象に残ったのは、安田顕(田沼意次)が切腹したときの表情。鬼気迫る顔が見事すぎました。
Y:夜ドラ「ユーミンストリーズ」(NHK)は松任谷由実の曲をテーマに小説家が紡いだ物語が、曲と文章双方の雰囲気を大切にしながら、丁寧に映像化されていました。他のミュージシャン・作家の組み合わせでもぜひ見てみたい形式です。個人的に特に印象深かったのは第2週「冬の終り」です。作者・登場人物と自分が同年代で、タイトルのユーミンの曲だけでなく、舞台となるスーパーのBGMで流れる当時のヒット曲が想像以上に心に響きました。音楽が呼び起こす“同時代感”が、ある年代を経て今を生きる主人公たちの物語に深みをもたらしていたようにも思えます。
K:心地よく流れる音楽のようなドラマかと思いきや、それぞれに深く見応えのある内容でした。人気作家による原作、脚本・演出も冴え3話とも甲乙つけ難く、オムニバスの贅沢さを味わいました。川上弘美原作の「春よ来い」は、宮崎あおいの透明感のある演技と、池松壮亮、小野花梨などの演技巧者らの人生が静かに交錯し感動を呼びました。絶妙なタイミングで歌が物語を彩る演出も良かった。短編小説を一週間かけてひとつずつ読むような感覚で、見終わると静かに眠りにつける。夜ドラという編成にぴったりな内容だったと思います。
ファンタジー作品も多数放送
ストーリー展開で明暗か
T:話題作ではこんなところでしょうか。他に気になった作品があれば個別にお願いします。
H:「リビングの松永さん」(関西テレビ)はいわゆるラブコメでしたが偶然シェアハウスで同居することになった歳の差カップルの物語。苦手なジャンルではあるので、正直ツッコミどころも多々あったんですが(笑)。そのゆるいラブコメ感が気軽に見れて良かったですね。
K:土曜ドラマ「お別れホスピタル」(NHK)は終末期医療を施す病院が舞台。そこで働く看護師(岸井ゆきの)が、退院することのない患者と悩みながら対峙する日々を描いています。誰にとっても避けられない死をテーマに、患者ひとりひとりのエピソードが心に響きました。そして医師役の松山ケンイチしかり、医療者も人生に仕事に迷いつつ正解のない治療を続ける姿が描かれて、制作側の真摯な姿勢を感じるドラマでした。
T:BLドラマを3本紹介したいです。シーズン1から6年ぶりにシーズン3となる金曜ナイトドラマ「おっさんずラブ-リターンズ-」(テレビ朝日)が制作されましたが、この間に日本でもBLドラマが数多く作られるようになり、クオリティも上がってきています。シーズン3は、最初のころの新鮮味はなく、BLドラマというよりは単なるドタバタコメディドラマになってしまった気がしました。逆に「好きやねんけどどうやろか」(読売テレビ)は、男性ふたりの価値観や性格の違いを正攻法で描き、男女の恋愛ドラマのように見られました。また、ドラマシャワー「佐原先生と土岐くん」(毎日放送)は、教師と教え子の恋愛という最近はほとんど扱われなくなったテーマに挑戦。終始、カラッとしたテイストで描かれていて、人を好きになることのワクワク感や切なさがうまく表現されていました。
I:「不適切にも〜」もそうですが、今期は現実にはないファンタジーを背景にしたドラマが多かったように思います。恋人の命を救う代わりに自分の五感を差し出す「君が心をくれたから」(フジテレビ)もそう。長崎の街や古い洋館という洒落た舞台設定がストーリーのシビアさを緩和していたし、役者の演技も上手で涙を誘いました。ただ、結局は恋人が死んで五感が戻ってくるという結末は安易だったような気も……。
H:確かにオチはちょっとなぁという感じでしたね。初回を見た時の座談会でも言ったんですが、このキャストで普通のラブストーリーが見たかったなぁという感想が最後まで抜けませんでした。
I:火曜ドラマ「Eye love you」(TBS)も主人公が人の心が読めるという設定。悪者が登場せず、ときにコミカルで楽しむことができました。でも、絵本の主人公と同じように死んでしまうのを避けたい、という動機づけには無理があって、その辺のストーリーには違和感を禁じ得ませんでした。せっかく韓国のライジングスターを配した意欲作なのだから、設定はファンタジーでいいけど、人の思考は自然なストーリーにしてほしかったです。
T:朝ドラやクドカン作品など話題作も多かった印象ですが、ファンタジー要素の多い明暗が分かれるクールだったかもしれません。すぐに新年度の春クールがスタートします。引き続き、ウォッチしていきましょう。
(2024年3月29日開催)
※関東地区で放送された番組を主に取り上げています
放送批評懇談会〈ギャラクシー賞/GALAC〉
@houkon_jp
https://t.cn/A6TiuX9Q
【座談会】2024年冬ドラマまとめ編
★放懇公式ホームページオリジナルコンテンツ「座談会」第33弾★
ギャラクシー賞マイベストTV賞プロジェクトメンバーが、2024年冬の注目作の感想を語ります!
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登場人物の魅力とストーリー光った
「ブギウギ」「ふてほど」「おっぱん」
T:2024年の冬ドラマが最終回を迎えました。今クールを総括していきましょう。朝ドラからどうでしょうか。
Y:連続テレビ小説「ブギウギ」(NHK)は歌の力を存分に感じながら半年間を楽しめました。主演の趣里はもちろん、キーパーソンの草彅剛、菊地凛子らが、実在の人物や出来事をベースにしながら、オリジナリティもある役をバランスよく魅力的に演じていたと思います。
T:主演の趣里の歌と踊りのシーンが圧巻でした。『東京ブギウギ』だけでなく、『ラッパと娘』『買物ブギー』など、往年の大スターの魅力を見事に表現していました。淡谷のり子役の菊地凛子も気だるい雰囲気を醸し出していて、音楽だけでも楽しめました。
K:私も半年間、音楽を存分に楽しませてもらいました。ラストシーンはなんと生演奏。指揮は音楽担当の服部隆之氏という振り切った演出で、本当にライブを見ているようでした。趣里の歌にしびれ、余韻の残るエンディングに唸りました。
Y:印象に残る登場人物が多く、「あの人たちはどうなったのだろう」と気になっていたところ、最終回の観客、手紙、お花で足早に多くの情報が補完され、少し驚きました。その後が知れてよかったものの、欲を言えば、下宿の夫妻やおでん屋の主人との戦後の交流なども見てみたかった気はします。
N:金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS)は宮藤官九郎らしく、親子のきずなや、元は反発し合っていた先輩後輩がわかり合う場面などで、ほろっとさせられたりとうまいなと思わせてくれるドラマではありました。
Y:現代の過剰にがんじがらめになったコンプライアンスを風刺しつつ、昭和と令和それぞれの問題点と良さに目を向け、テレビ業界の内省も描き、さらには家族や人生、生と死を改めて考えさせる要素が絶妙にストーリーに織り込まれ、毎回次週が楽しみなドラマでした。最終回のCreepy Nutsの登場の仕方も絶妙でした。2024年ってこんな感じだった、と後々確認できるコンテンツにもなりそうです。
S:演じ手が総じて歌が上手なので、唐突なミュージカル展開も無理なく受け入れられました。世代ギャップやタイムパラドックスを取り入れつつも、芯の部分は真っ当なホームドラマだったと思います。最終回、水と油だった小川とサカエが、時空を超えて互いの世界の生きづらさに愚痴をこぼすシーンにドラマのメッセージが凝縮されていると感じました。時代のせいにしてはダメなのよね。声を上げていかないと。
Y:ただ残念だったのは、インティマシーコーディネーターやフェミニストの社会学者、同性パートナーシップの描き方が、見方によっては一方的で情報不足に感じられた点です。このような点まで丁寧に描かれてこそ主題が際立つのでは、と思ったところです。
N:そうですね。アウティングという言葉を誤解した登場人物が出てきたり、フェミニストを誇張したり、インティマシーコーディネーターという職業の本質を曲解させるような部分もありました。その点については、さまざまな識者が記事で突っ込んでいたので、それは良かったとは思いますが、その記事にたどり着かない人を思うと複雑な気持ちです。
T:「不適切にも~」では昭和の魅力を味わえましたが、「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」(東海テレビ)、こちらは逆。昭和の価値観を持った父親が、現代風に“アップデート”されていく様子が、コミカルな場面を交えながら生真面目に描かれていました。性や価値の多様性の問題が、真っ正面から扱われていたのも好感が持てました。
N:タイトルからはどんなドラマか想像がつきませんでしたが、主人公が最初は旧態依然とした価値観を持っていたのに、変化していく様子が自然に描かれていました。特に、同性カップルが、現時点の国内の制度的には法的に結婚できないといことを、実際の現状をしっかり示しながらも(その点は、「おっさんずラブ‐リターンズ‐」でも描かれていませんでした)よりよい形を求めるところもよかったです。
現代版のアップデートも楽しめる「舟を編む」
オムニバスの贅沢さ生かした夜ドラ
K:「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」(NHK-BS)はアニメ化や映画にもなっていて名作の誉れ高い作品ですが、ドラマ版は辞書編纂室に異動させられた岸辺みどり(池田エライザ)を主軸にし、素人が辞書作りの魅力に開眼していく姿に視聴者が共感しやすい作りになっています。そして特筆すべきは野田洋次郎の演技。辞書作りに情熱を注ぎ、不器用だが真っ直ぐで意志の強い馬締(まじめ)という男。個性の強い難役を見事に演じ、物語を動かす原動力になっています。すっかりRADWIMPSであることを忘れて見ています。
H:まだ最終回まで数話ありますが、今クールでは一番一週間が待ち遠しかった作品で、個人的ナンバーワンです。映画版とは違う視点で描かれているので新鮮に見れましたし、辞書作りならではの工夫や苦労が各話に登場するさまざまな登場人物を通してわかってくる。勝村政信が出演した「水木しげる」の回は泣きましたね。辞書の意義を再認識させられました。また、「恋愛」の語釈では「異性」や「男女」の記述に違和感を持つという現代版のアップデートもありました。その辺りも含め残り数話、伏線になっているチェックの見落としをどう回収するのか、ドラマ版ならではのラストになるのか楽しみです。
S:「大奥」(フジテレビ)はクセのある登場人物だらけなのに、その人となりがなかなか明かされず、物語を追うのに苦労しました。地位と権力をめぐる争いが続くヘビーな展開のなか、御難続きの御台所を支える家治の不器用な愛情に触れるとホッとしました。
H:同感ですね。序盤~中盤にかけて停滞していた感じがあり、継続して視聴するのが辛くなる週がありました。どうしても既視感があるなかで、もう少し視聴者を引き付ける展開が必要だった気がしています。やり切った小芝風花には拍手を送りたいですが…。
I:小芝風花、よかったですよね。ただ最後に印象に残ったのは、安田顕(田沼意次)が切腹したときの表情。鬼気迫る顔が見事すぎました。
Y:夜ドラ「ユーミンストリーズ」(NHK)は松任谷由実の曲をテーマに小説家が紡いだ物語が、曲と文章双方の雰囲気を大切にしながら、丁寧に映像化されていました。他のミュージシャン・作家の組み合わせでもぜひ見てみたい形式です。個人的に特に印象深かったのは第2週「冬の終り」です。作者・登場人物と自分が同年代で、タイトルのユーミンの曲だけでなく、舞台となるスーパーのBGMで流れる当時のヒット曲が想像以上に心に響きました。音楽が呼び起こす“同時代感”が、ある年代を経て今を生きる主人公たちの物語に深みをもたらしていたようにも思えます。
K:心地よく流れる音楽のようなドラマかと思いきや、それぞれに深く見応えのある内容でした。人気作家による原作、脚本・演出も冴え3話とも甲乙つけ難く、オムニバスの贅沢さを味わいました。川上弘美原作の「春よ来い」は、宮崎あおいの透明感のある演技と、池松壮亮、小野花梨などの演技巧者らの人生が静かに交錯し感動を呼びました。絶妙なタイミングで歌が物語を彩る演出も良かった。短編小説を一週間かけてひとつずつ読むような感覚で、見終わると静かに眠りにつける。夜ドラという編成にぴったりな内容だったと思います。
ファンタジー作品も多数放送
ストーリー展開で明暗か
T:話題作ではこんなところでしょうか。他に気になった作品があれば個別にお願いします。
H:「リビングの松永さん」(関西テレビ)はいわゆるラブコメでしたが偶然シェアハウスで同居することになった歳の差カップルの物語。苦手なジャンルではあるので、正直ツッコミどころも多々あったんですが(笑)。そのゆるいラブコメ感が気軽に見れて良かったですね。
K:土曜ドラマ「お別れホスピタル」(NHK)は終末期医療を施す病院が舞台。そこで働く看護師(岸井ゆきの)が、退院することのない患者と悩みながら対峙する日々を描いています。誰にとっても避けられない死をテーマに、患者ひとりひとりのエピソードが心に響きました。そして医師役の松山ケンイチしかり、医療者も人生に仕事に迷いつつ正解のない治療を続ける姿が描かれて、制作側の真摯な姿勢を感じるドラマでした。
T:BLドラマを3本紹介したいです。シーズン1から6年ぶりにシーズン3となる金曜ナイトドラマ「おっさんずラブ-リターンズ-」(テレビ朝日)が制作されましたが、この間に日本でもBLドラマが数多く作られるようになり、クオリティも上がってきています。シーズン3は、最初のころの新鮮味はなく、BLドラマというよりは単なるドタバタコメディドラマになってしまった気がしました。逆に「好きやねんけどどうやろか」(読売テレビ)は、男性ふたりの価値観や性格の違いを正攻法で描き、男女の恋愛ドラマのように見られました。また、ドラマシャワー「佐原先生と土岐くん」(毎日放送)は、教師と教え子の恋愛という最近はほとんど扱われなくなったテーマに挑戦。終始、カラッとしたテイストで描かれていて、人を好きになることのワクワク感や切なさがうまく表現されていました。
I:「不適切にも〜」もそうですが、今期は現実にはないファンタジーを背景にしたドラマが多かったように思います。恋人の命を救う代わりに自分の五感を差し出す「君が心をくれたから」(フジテレビ)もそう。長崎の街や古い洋館という洒落た舞台設定がストーリーのシビアさを緩和していたし、役者の演技も上手で涙を誘いました。ただ、結局は恋人が死んで五感が戻ってくるという結末は安易だったような気も……。
H:確かにオチはちょっとなぁという感じでしたね。初回を見た時の座談会でも言ったんですが、このキャストで普通のラブストーリーが見たかったなぁという感想が最後まで抜けませんでした。
I:火曜ドラマ「Eye love you」(TBS)も主人公が人の心が読めるという設定。悪者が登場せず、ときにコミカルで楽しむことができました。でも、絵本の主人公と同じように死んでしまうのを避けたい、という動機づけには無理があって、その辺のストーリーには違和感を禁じ得ませんでした。せっかく韓国のライジングスターを配した意欲作なのだから、設定はファンタジーでいいけど、人の思考は自然なストーリーにしてほしかったです。
T:朝ドラやクドカン作品など話題作も多かった印象ですが、ファンタジー要素の多い明暗が分かれるクールだったかもしれません。すぐに新年度の春クールがスタートします。引き続き、ウォッチしていきましょう。
(2024年3月29日開催)
※関東地区で放送された番組を主に取り上げています
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