2022年1月29日(土)、テアトル梅田にて『さがす』を鑑賞。
ポン・ジュノ風?キム・ギドク風?パク・チャヌク風?私はそんな小見出しで片山慎三監督が自費製作した『岬の兄弟』(18年)を高く評価し、星5つを付けた。すると、彼の2作目にして完全オリジナル脚本による商業映画デビュー作たる本作への期待は大!
『さがす』という謎めいたタイトルどおりの導入部の展開は面白い。西成のあいりん地区なら、今でもあんなに気の強い中学生の女の子がいるかも・・・?そう思っていたが、3か月前の物語、13か月前の物語になってくるとアレレ、アレレ・・・。
冒頭に提示される300万円は懸賞金のはずだが、その実は?本作のネタは、“安楽死”に名を借りた連続凶悪殺人事件?そんな薄っぺらな物語が見えてくると・・・?
濱口竜介監督の脚本はオリジナル性が際立つ『偶然と想像』(21年)でメチャ面白かったが、本作はまだまだ・・・。片山監督には、次の第3作目に期待!
ポン・ジュノ風?キム・ギドク風?パク・チャヌク風?私はそんな小見出しで片山慎三監督が自費製作した『岬の兄弟』(18年)を高く評価し、星5つを付けた。すると、彼の2作目にして完全オリジナル脚本による商業映画デビュー作たる本作への期待は大!
『さがす』という謎めいたタイトルどおりの導入部の展開は面白い。西成のあいりん地区なら、今でもあんなに気の強い中学生の女の子がいるかも・・・?そう思っていたが、3か月前の物語、13か月前の物語になってくるとアレレ、アレレ・・・。
冒頭に提示される300万円は懸賞金のはずだが、その実は?本作のネタは、“安楽死”に名を借りた連続凶悪殺人事件?そんな薄っぺらな物語が見えてくると・・・?
濱口竜介監督の脚本はオリジナル性が際立つ『偶然と想像』(21年)でメチャ面白かったが、本作はまだまだ・・・。片山監督には、次の第3作目に期待!
STAGEnavi vol.65 Aぇ! group 末澤誠也 Special talk①
《名為PRIDE的武器 打開末澤誠也新的可能性。》
在Johnnys Jr.的演唱會上竟然能夠聽見如此有震撼力的BAND樂曲--只有擁有HiG高音的末澤才能演唱的「PRIDE」,讓粉絲們及記者團也感到驚艷。其厲害程度也傳到了以動漫歌手身份而活躍的大石昌良/オーイシマサヨシ的耳裡,甚至說出了「想幫Aぇ! group寫歌」。
❤️壓力卻實滿大的啊。但也覺得因為這首歌的關係,反而激發出Aぇ! group的另一種表現方式。粉絲裡應該也有沒那麼喜歡band的人在吧?可能比起看我們演奏樂器,反而更喜歡看我們唱歌跳舞。所以當聽說Aぇ! group有新歌時,也會很在意「不知道配唱會怎麼分配?」。因此當一開始決定是我為主要演唱時也和音樂製作人商量「在想這樣的表現方式好嗎?」,但是大倉(忠義)君說「就決定是這樣了」,所以也只能努力讓粉絲們認可了,如果能夠唱出讓大家壓倒性的認為「沒辦法啊,這就是末澤的歌啊」的話,應該也算是Aぇ! group的武器吧。也是大倉君給我這樣的機會。
在vol.61的取材裡提到,去年夏天的Summer Special 2021結束後就開始歌唱訓練,音域已經比原先高出三個音階,如果說那時提到的音就是HiG的話,是指在那時間點就已經開始在排練「PRIDE」了嗎?
❤️其實不是的。「PRIDE」全部完成大概是在接近オリックス劇場(狼煙)開演的時候。不過之前大倉君有跟我說過「希望能夠再提升歌唱能力,因為已經有計劃下一首是以main vocal為主的歌曲」。聽到的時候就覺得「這樣好像很不得了」。而我原本就想要強化自己的歌唱能力,所以在Summer Special之後自主去上歌唱訓練課程。
因為9月開始去歌唱訓練的收獲,又或許說是不經意之中就已經是混聲(Mixed Voice)。之前末澤君曾告訴我們「業界中很多Mixed Voice歌聲的歌手在。能用喉嚨比較有力量的唱法,以及發出宏亮的聲音,在一首歌中能夠將其混用唱出的人」。例如演唱「Dry Flower」的優里。
**(ミックスボイスは地声と裏声の中間の発声
地声と裏声の中間の声という意味で使われることが多いです。 地声よりもキレイな高音を出しつつ、通常の裏声よりも力強い発声をする方法です)
沒想到曾經露出羨慕神色談論著這件事的末澤也是擁有混聲(Mixed Voice)的人。關於這點,在還沒在歌唱訓練中被指出時,似乎完全沒有意識到。
❤️最近又往上一個音階,最高能到了HiHiA,現在的音域已經是3個8度音了。因為混聲(Mixed Voice)能夠將高音和真音混合,也就是假音的Falsetto。(https://t.cn/A664XqIq)
如果能將技巧加以磨練到穩定,那麼唱高音時的聲音能夠厚實且有力,就會是很強大的武器。為此現今的課題就是要讓喉嚨變得強壯。雖然也是要多訓練喉嚨的肌肉,但發聲及延展技巧都需要靠著從失敗中找到方法。現在我也還在多方嘗試中。我是種聽老師用口頭教學是無法學會的人,一定要身體力行。在發聲時如果老師說了「就是這個!」那我就會讓身體去記得「啊~原來是這樣啊,必需用喉嚨的那個地方來發聲」。我也還在加強訓練中,目標是訓練到1個月內每天唱「PRIDE」都承受得住的程度。
首次考驗歌唱訓練成果的是在去年10月的配信「Johnnys Village # 4」出演時,和成員的小島健及佐野晶哉三人共同演唱的「キミトミタイセカイ」。也是而後在オリックス劇場(狼煙單獨)時,全員也一起演唱的歌曲。
❤️「Johnnys Village # 4」那時是歌唱訓練剛開始不久,所以其實是很吃力的。除了自己過度使力造成喉嚨縮太緊之外,還有過於興奮又過度緊張也有關係。還得要學會保持喉嚨收放的平衡。而在オリックス劇場那時已經找到方法了,所以6人一起唱的「キミトミタイセカイ」是可以輕鬆地、不會很辛苦的唱出來。特別是在副歌的假音部份,喉嚨的舒適度跟以前是完全不同了。
(閱讀障礙中...有錯歡迎指正
《名為PRIDE的武器 打開末澤誠也新的可能性。》
在Johnnys Jr.的演唱會上竟然能夠聽見如此有震撼力的BAND樂曲--只有擁有HiG高音的末澤才能演唱的「PRIDE」,讓粉絲們及記者團也感到驚艷。其厲害程度也傳到了以動漫歌手身份而活躍的大石昌良/オーイシマサヨシ的耳裡,甚至說出了「想幫Aぇ! group寫歌」。
❤️壓力卻實滿大的啊。但也覺得因為這首歌的關係,反而激發出Aぇ! group的另一種表現方式。粉絲裡應該也有沒那麼喜歡band的人在吧?可能比起看我們演奏樂器,反而更喜歡看我們唱歌跳舞。所以當聽說Aぇ! group有新歌時,也會很在意「不知道配唱會怎麼分配?」。因此當一開始決定是我為主要演唱時也和音樂製作人商量「在想這樣的表現方式好嗎?」,但是大倉(忠義)君說「就決定是這樣了」,所以也只能努力讓粉絲們認可了,如果能夠唱出讓大家壓倒性的認為「沒辦法啊,這就是末澤的歌啊」的話,應該也算是Aぇ! group的武器吧。也是大倉君給我這樣的機會。
在vol.61的取材裡提到,去年夏天的Summer Special 2021結束後就開始歌唱訓練,音域已經比原先高出三個音階,如果說那時提到的音就是HiG的話,是指在那時間點就已經開始在排練「PRIDE」了嗎?
❤️其實不是的。「PRIDE」全部完成大概是在接近オリックス劇場(狼煙)開演的時候。不過之前大倉君有跟我說過「希望能夠再提升歌唱能力,因為已經有計劃下一首是以main vocal為主的歌曲」。聽到的時候就覺得「這樣好像很不得了」。而我原本就想要強化自己的歌唱能力,所以在Summer Special之後自主去上歌唱訓練課程。
因為9月開始去歌唱訓練的收獲,又或許說是不經意之中就已經是混聲(Mixed Voice)。之前末澤君曾告訴我們「業界中很多Mixed Voice歌聲的歌手在。能用喉嚨比較有力量的唱法,以及發出宏亮的聲音,在一首歌中能夠將其混用唱出的人」。例如演唱「Dry Flower」的優里。
**(ミックスボイスは地声と裏声の中間の発声
地声と裏声の中間の声という意味で使われることが多いです。 地声よりもキレイな高音を出しつつ、通常の裏声よりも力強い発声をする方法です)
沒想到曾經露出羨慕神色談論著這件事的末澤也是擁有混聲(Mixed Voice)的人。關於這點,在還沒在歌唱訓練中被指出時,似乎完全沒有意識到。
❤️最近又往上一個音階,最高能到了HiHiA,現在的音域已經是3個8度音了。因為混聲(Mixed Voice)能夠將高音和真音混合,也就是假音的Falsetto。(https://t.cn/A664XqIq)
如果能將技巧加以磨練到穩定,那麼唱高音時的聲音能夠厚實且有力,就會是很強大的武器。為此現今的課題就是要讓喉嚨變得強壯。雖然也是要多訓練喉嚨的肌肉,但發聲及延展技巧都需要靠著從失敗中找到方法。現在我也還在多方嘗試中。我是種聽老師用口頭教學是無法學會的人,一定要身體力行。在發聲時如果老師說了「就是這個!」那我就會讓身體去記得「啊~原來是這樣啊,必需用喉嚨的那個地方來發聲」。我也還在加強訓練中,目標是訓練到1個月內每天唱「PRIDE」都承受得住的程度。
首次考驗歌唱訓練成果的是在去年10月的配信「Johnnys Village # 4」出演時,和成員的小島健及佐野晶哉三人共同演唱的「キミトミタイセカイ」。也是而後在オリックス劇場(狼煙單獨)時,全員也一起演唱的歌曲。
❤️「Johnnys Village # 4」那時是歌唱訓練剛開始不久,所以其實是很吃力的。除了自己過度使力造成喉嚨縮太緊之外,還有過於興奮又過度緊張也有關係。還得要學會保持喉嚨收放的平衡。而在オリックス劇場那時已經找到方法了,所以6人一起唱的「キミトミタイセカイ」是可以輕鬆地、不會很辛苦的唱出來。特別是在副歌的假音部份,喉嚨的舒適度跟以前是完全不同了。
(閱讀障礙中...有錯歡迎指正
【中村屋酒店の兄弟】
たった1行のセリフに隠された感情 藤原季節が23歳新人監督から気付かされたこと
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?
映画「中村屋酒店の兄弟」、オファー当初は「出演をお断りした」
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?(取材・文=平辻哲也)
同作は昨今、なくなりつつある酒店を舞台に、親からの店を継いだ兄・弘文(長尾卓磨)と東京からワケあって帰ってきた弟・和馬(藤原)を描く45分の中編。兄弟の近くて遠い距離感を絶妙に描き、第13回田辺・弁慶映画祭TBSラジオ賞、第30回東京学生映画祭グランプリ、第11回下北沢映画祭観客賞などを受賞。この快挙に、W主演の長尾が劇場公開へと動き、3月4日、東京・シネクイントでのレイトショー先行公開、同18日からの全国17館での順次公開が決まった。
「長尾さんをはじめとしたみなさんの努力の積み重ねですね。今だからこそ、誰かの心に届くかもしれない。その可能性を感じてくれた人が積み重なって全国まで行けたんだと思います」
しかし、3年前は劇場公開など思いもよらないことだった。監督は17歳から俳優活動し、独学で脚本を学んだという当時23歳の白磯大知。スタッフも映画未経験という自主映画だった。
「共通の知人を介してオファーを頂きました。最初は『この作品の面白さを理解することができません』とお断りしました。この脚本は、何も激しいことは起こらない。当時は何を撮りたいかつかめなかったんですよ。今思えば、安易な考えだったし、監督の白磯君に敬意をちゃんと払っていなかったんですよね。自分の未熟さですけども」
その後、一度も会わずに断ったことが脳裏に引っかかり、改めて渋谷のカフェで監督との時間を作ってもらった。「そこで白磯君がどういうことを描きたいかっていうことを丁寧に教えてくれたんですが、人となりがとても魅力的だった。『兄弟の距離感を描きたい』という言葉を聞いて、その場でもう一度読み直しました。そうしたら、たった1行のセリフにたくさんの語られてない感情が隠れているんだと気づき、僕にとってチャレンジになるのでやらせてください、とお願いしたんです」。
北海道札幌市出身、19歳で上京「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきた」
劇中では、微妙なすれ違いの感情が描かれる。「トークイベントのゲストに来てくれた村上虹郎君が『褒めてばかりでもつまらないので、思ったことを言います。兄弟が楽しすぎる気がした』と言ってくれたんですね。その事をずっと考えました。それで分かったのは、楽しんでいるんじゃなくて、楽しんでいるふりをしているんだな、ということ。その裏にはきっと語られてない感情がたくさんあって、家族や兄弟としゃべっている時の自分も、何かを演じているんだなってことです。そんなことがちょっとずつ見えてきました」。
妹と姉がいるそうで、和馬の気持ちには「自分にも思い当たる節がありますね。気恥ずかしさだったり、東京で好き勝手やっていることの後ろめたさ、それをカモフラージュするためにちょっと明るく話してみたり……」。
自身は北海道札幌市出身。実家を飛び出したことも共通点。19歳の時に大学進学を機に上京したのだ。「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきたんです。正確には大学には入学しているんですけど、3か月も通っていませんね……。なので、親には入学金の無駄遣いをさせてしまいました。泣いてましたね。だから、東京と実家で安息の地を探している和馬の気持ちは分かる部分もありました。実家に帰っても、どこかで何かを演じなきゃならない。自分の居場所を彼も探していたんだと思います」。
2013年に本格的に俳優活動をスタートし、以降、映画、ドラマ、舞台でキャリアを積み上げてきた。20年に第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を、21年には、第13回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を授賞した。
今は、居場所を見つけられたのではないか。「確かに、カメラの前での居場所はできたように思えます。でも、僕ら俳優は、現実に帰ってこなきゃいけないですから。現実の世の中で生活をして生きていかなきゃいけないわけで、その居場所は自分自身でもう1回見つけないといけないと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」はいろんな気付きを与えてくれた作品になった。特に教えてくれたのは兄役の長尾だ。「スタッフは映画が初めての人が多く、不慣れな部分もあったんですけども、長尾さんは最後まで一つも文句を言わなかったんです。だから、僕も何も言わないようにしたんです。そうしたら、3日目から、スタッフが“段取りファースト”から“お芝居ファースト”に変わっていった。それは、僕たちの意識が伝わったんだと思います。はっきり伝えるっていうのは、自分の気持ちを伝えたいだけで、コミュニケーションって、そういうことだけではないんだと思いました」。
出演後は新たな関係性も生まれている。「長尾さんとは全然似ていないんですけど、映画を見ていると、兄弟に見えてくるから不思議ですね。日常生活でも、長男・長尾さん、次男・僕、三男・白磯君の三兄弟みたいな感じなんです。頻繁に連絡を取ったり、お酒を飲んだりするわけじゃないけど、久々に会うことができたら、みんなで近況報告を恥じらいながらする。そんな関係ができあがりました」。
コロナ禍となり自宅で映画鑑賞「インディーズ、メジャーに関わらず必要なもの」
映画は自身の原点だ。「(コロナ禍で)自宅での時間が増えると、大作ばかり観ていました。大好きなアル・パチーノの出演作とかを見ていましたが、先日は、インディーズ映画を見て、衝撃を受けました。『フタリノセカイ』(公開中)というトランスジェンダーの男性とシスジェンダーの女性カップルの話で、2人には子供が作れない。そこである決断をするシーンがあるんですけども、幸せにはあらゆるカタチがあっていいんだという希望の描き方に感動しました。そんな体験をすると、インディーズ、メジャーに関わらず、映画体験は必要なものだと改めて実感しました」。
藤原もそんな体験を与えられるような新しい映画との出会いを求めている。「新しい何かに出会うときって、自分を解体しないと出会えないんじゃないかな、と思っています。常に自分を疑ってみたり、自分は間違っているかもしれないと考え続けて、誰かが書いたセリフを言ってみた時に出会えるような気がします。そんな破壊と再生の旅を続けたいと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」は佳作というべき小作だが、藤原にとってはターニングポイントになったようだ。
たった1行のセリフに隠された感情 藤原季節が23歳新人監督から気付かされたこと
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?
映画「中村屋酒店の兄弟」、オファー当初は「出演をお断りした」
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?(取材・文=平辻哲也)
同作は昨今、なくなりつつある酒店を舞台に、親からの店を継いだ兄・弘文(長尾卓磨)と東京からワケあって帰ってきた弟・和馬(藤原)を描く45分の中編。兄弟の近くて遠い距離感を絶妙に描き、第13回田辺・弁慶映画祭TBSラジオ賞、第30回東京学生映画祭グランプリ、第11回下北沢映画祭観客賞などを受賞。この快挙に、W主演の長尾が劇場公開へと動き、3月4日、東京・シネクイントでのレイトショー先行公開、同18日からの全国17館での順次公開が決まった。
「長尾さんをはじめとしたみなさんの努力の積み重ねですね。今だからこそ、誰かの心に届くかもしれない。その可能性を感じてくれた人が積み重なって全国まで行けたんだと思います」
しかし、3年前は劇場公開など思いもよらないことだった。監督は17歳から俳優活動し、独学で脚本を学んだという当時23歳の白磯大知。スタッフも映画未経験という自主映画だった。
「共通の知人を介してオファーを頂きました。最初は『この作品の面白さを理解することができません』とお断りしました。この脚本は、何も激しいことは起こらない。当時は何を撮りたいかつかめなかったんですよ。今思えば、安易な考えだったし、監督の白磯君に敬意をちゃんと払っていなかったんですよね。自分の未熟さですけども」
その後、一度も会わずに断ったことが脳裏に引っかかり、改めて渋谷のカフェで監督との時間を作ってもらった。「そこで白磯君がどういうことを描きたいかっていうことを丁寧に教えてくれたんですが、人となりがとても魅力的だった。『兄弟の距離感を描きたい』という言葉を聞いて、その場でもう一度読み直しました。そうしたら、たった1行のセリフにたくさんの語られてない感情が隠れているんだと気づき、僕にとってチャレンジになるのでやらせてください、とお願いしたんです」。
北海道札幌市出身、19歳で上京「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきた」
劇中では、微妙なすれ違いの感情が描かれる。「トークイベントのゲストに来てくれた村上虹郎君が『褒めてばかりでもつまらないので、思ったことを言います。兄弟が楽しすぎる気がした』と言ってくれたんですね。その事をずっと考えました。それで分かったのは、楽しんでいるんじゃなくて、楽しんでいるふりをしているんだな、ということ。その裏にはきっと語られてない感情がたくさんあって、家族や兄弟としゃべっている時の自分も、何かを演じているんだなってことです。そんなことがちょっとずつ見えてきました」。
妹と姉がいるそうで、和馬の気持ちには「自分にも思い当たる節がありますね。気恥ずかしさだったり、東京で好き勝手やっていることの後ろめたさ、それをカモフラージュするためにちょっと明るく話してみたり……」。
自身は北海道札幌市出身。実家を飛び出したことも共通点。19歳の時に大学進学を機に上京したのだ。「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきたんです。正確には大学には入学しているんですけど、3か月も通っていませんね……。なので、親には入学金の無駄遣いをさせてしまいました。泣いてましたね。だから、東京と実家で安息の地を探している和馬の気持ちは分かる部分もありました。実家に帰っても、どこかで何かを演じなきゃならない。自分の居場所を彼も探していたんだと思います」。
2013年に本格的に俳優活動をスタートし、以降、映画、ドラマ、舞台でキャリアを積み上げてきた。20年に第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を、21年には、第13回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を授賞した。
今は、居場所を見つけられたのではないか。「確かに、カメラの前での居場所はできたように思えます。でも、僕ら俳優は、現実に帰ってこなきゃいけないですから。現実の世の中で生活をして生きていかなきゃいけないわけで、その居場所は自分自身でもう1回見つけないといけないと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」はいろんな気付きを与えてくれた作品になった。特に教えてくれたのは兄役の長尾だ。「スタッフは映画が初めての人が多く、不慣れな部分もあったんですけども、長尾さんは最後まで一つも文句を言わなかったんです。だから、僕も何も言わないようにしたんです。そうしたら、3日目から、スタッフが“段取りファースト”から“お芝居ファースト”に変わっていった。それは、僕たちの意識が伝わったんだと思います。はっきり伝えるっていうのは、自分の気持ちを伝えたいだけで、コミュニケーションって、そういうことだけではないんだと思いました」。
出演後は新たな関係性も生まれている。「長尾さんとは全然似ていないんですけど、映画を見ていると、兄弟に見えてくるから不思議ですね。日常生活でも、長男・長尾さん、次男・僕、三男・白磯君の三兄弟みたいな感じなんです。頻繁に連絡を取ったり、お酒を飲んだりするわけじゃないけど、久々に会うことができたら、みんなで近況報告を恥じらいながらする。そんな関係ができあがりました」。
コロナ禍となり自宅で映画鑑賞「インディーズ、メジャーに関わらず必要なもの」
映画は自身の原点だ。「(コロナ禍で)自宅での時間が増えると、大作ばかり観ていました。大好きなアル・パチーノの出演作とかを見ていましたが、先日は、インディーズ映画を見て、衝撃を受けました。『フタリノセカイ』(公開中)というトランスジェンダーの男性とシスジェンダーの女性カップルの話で、2人には子供が作れない。そこである決断をするシーンがあるんですけども、幸せにはあらゆるカタチがあっていいんだという希望の描き方に感動しました。そんな体験をすると、インディーズ、メジャーに関わらず、映画体験は必要なものだと改めて実感しました」。
藤原もそんな体験を与えられるような新しい映画との出会いを求めている。「新しい何かに出会うときって、自分を解体しないと出会えないんじゃないかな、と思っています。常に自分を疑ってみたり、自分は間違っているかもしれないと考え続けて、誰かが書いたセリフを言ってみた時に出会えるような気がします。そんな破壊と再生の旅を続けたいと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」は佳作というべき小作だが、藤原にとってはターニングポイントになったようだ。
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